リエージュ大学は、IsoPrime100を使用して、海洋生態学、特に海洋動物の栄養過程を調査しています。
Loïc Michel博士は、ベルギーのリエージュにあるリエージュ大学 (ULg) 海洋学研究所のベルギー科学政策 (BELSPO) 博士研究員です。彼は、大学の同位体比質量分析 (IRMS) プラットフォームを Gilles Lepoint 博士と共同で管理しています。 ベルギー国立科学研究基金 (FNRS) によって任命された Lepoint 博士は、「環境科学および栄養生態学における安定同位体」ワークグループの責任者です。
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現在、Michel 博士と Lepoint 博士は、自分達の研究、地方、国内、さらには国際規模で多数の学術的共同研究を行っています。 各プロジェクトでは、Michel 博士と Lepoint 博士が安定同位体分析、データ処理、結果解析とその公開に携わっています。
Michel 博士と Lepoint 博士は、元素分析用の Elementar vario MICRO cubeと、化合物用の GC5 燃焼インターフェースに結合された Aglient GC-MSD (7890A Gas Chromatograph + 5975 Mass selective detector) の2台のインレットシステムに接続されたIsoPrime100 同位体比質量分析計を運用しています。
ULg 安定同位体研究所の重要なテーマは、海洋生態学であり、動物の栄養過程における自然または人為的な変動が、カスケード効果を通じて他の生物にどのように影響を与えるかというものです。 研究室の主な研究分野は、南極の大型底生動物間の栄養相互作用と、それらに対する気候変動に関連するストレッサーの影響の解明です。 ここでMichel 博士は、海氷面積の増加が、地域の食物網を支配するプロセスに深刻な混乱を生じさせ、無脊椎動物に損害を与える可能性があることを発見しました。 また、このチームは、南極の生物が、環境条件の変化とそれに伴う獲物の数の変化に対処するために、どのように摂食戦略を適応させるかということを研究しました。
一方、 Lepoint 博士と彼のチームは、温帯および熱帯の海草藻場と、これらの生態系におけるデトリタスの役割に焦点を当ててきました。 海草のデトリタスは通常、見た目が美しくない大きな集合体を形成しますが、Lepoint 博士の研究では、それらが生態学的観点から非常に重要であることを示しています。 海草のデトリタスは、デトリタスの一時的な性質に適応した数十の動物種の複雑な生息地を形成すると同時に、これらの食物網にとって非常に重要なものです。この新しい研究は、これらの自然環境を管理する保全科学者達へより有益な情報を提供することができます。
Elementar の IRMS 装置は2011年以来多くの場面で役立ってきました。それまで使用していたOptima IRMS システムの信頼性が低下していたのを受けてIsoPrime100 へ置き換えることでラボの効率化を実現し、分析能力を向上させました。 IsoPrime100を使用することで、Michel 博士と Lepoint 博士は、元素分析装置を用いた研究に硫黄同位体比を組み込み、化合物固有の同位体分析を行う事で、栄養生態学をより深いレベルで調査できるようになりました。 彼らのプラットフォームは、図らずもベルギーのフランス語圏コミュニティで唯一の IRMS システムとなったため、ULg の他部門や、他のベルギーの大学や研究機関とのコラボレーションを促進するのに役立ちました.
IsoPrime100 の機能で特筆すべき点は、Michel 博士と Lepoint 博士の日常分析業務の大半を自動化できたことです。これは、IsoPrime100の安定性とvario MICRO cubeがサンプル分析の自動化を強力にサポートしている事によります。 この自動化により、Michel 博士と Lepoint 博士は、年間 10,000 件を超える分析結果を維持しながらも他の日常業務を行う時間の確保が可能となりました。
Michel 博士と Lepoint 博士が Elementar に惹かれた背景には、彼らの研究室が 90 年代半ばから VG/Micromass IRMS機器を愛用していたという点があります。でも今回Michel 博士にとって印象深かったのは、EAとIRMSへのElementar のアプローチでした。
Michael博士は次のように述べています。
Elementarにとって、EA と IRMS は大企業の1部門ではなく、Elementarの中心的な存在です。これは、研究開発へのコミットメントにも現れています。
Michel 博士と Lepoint 博士は、Elementar からの別のIRMS装置の購入を前向きに検討しています。博士達の現システムの大きな課題の1つが、EAがサンプルスループットの鍵を握っており、GCによる化合物固有の分析に集中することが困難であるという点です。将来的には2 台目の IRMSを購入して GCシステム専用にすることで、研究テーマの拡大とを拡大し、ラボの分析対応力を向上させたいと考えています。
リエージュ大学 海洋学研究所について
地理的条件にもかかわらず、リエージュ大学 (ベルギー) において海洋科学分野は非常に恵まれた研究環境です。海洋学研究所は、海草生態系、海洋脊椎動物生態毒性学、栄養生態学、安定同位体の応用、プランクトン生態学、生態系モデリングなど、海洋生態学と環境科学のさまざまな専門分野で有名です。 また、ULg の学際的な海洋科学センター (MARE) の1部でもあり、300 以上の査読済出版物を発行しています。
導入装置 | IsoPrime100 (legacy instrument, successor: isoprime precisION) |
住所 | University of Liège, Laboratory of Oceanology |
詳細連絡先 | Email: Gilles Lepoint: G.Lepoint@ulg.ac.be Loïc Michel: loicnmichel@gmail.com
Facility website: oceanobio.uliege.be/cms/c_4450591/fr/oceanobio (general lab website) oceanobio.uliege.be/cms/c_4661470/fr/oceanobio-isotopes-stables-sciences-environnementales (stable isotope group page)
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引用 | For recent publications from the lab, please click here. |